【6日目】スペイン マドリード 2019
スペイン6日目。ほぼ最終日。(明朝、マドリードを発つので)
昨日のアルハンブラ宮殿の余韻が残り、興奮して早朝に起きる。予約したタクシーでマドリードへ移動へ。
「WHEN 最適なタイミングを科学する」という書籍には、「旅行を思い出深いものにするためには、最後の日にピークを持ってくること」というようなことが書かれてあった。いわゆる「ピークエンドの法則」~終わり良ければ総て良しの発想である。
なので、最後のマドリードは、がんばって観光したい。
昨日、アルハンブラ宮殿の入場手配をしてくれたヘフェ(ボス)によろしく伝えてくれと言う。
外はかなりの雨。昨日が雨でなくてよかった。今日、アルハンブラ宮殿に入場する人は大変だろう。
迎えに来たタクシーはベンツのミニバン。普通のタクシーでよかったのに。
運転手がお喋りだ。私がスペイン語話せるとわかると、40分ずーっと話してる。
とくにフラメンコギターの名手であるパコ・デ・ルシアの話題になったとたん、運転しながらスマホを触り、ユーチューブで動画を再生しはじめる。朝からノリノリである。
写真を撮らせてもらった。
ホテルからいただいた朝食。リンゴはどうすればいいのか。
1時間5分で到着。マドリードも雨だ。そして寒い。
マドリードのバラハス空港。また迷う。
空港から電車の駅まで移動するのに、また専用バスに。空港が広すぎる。そして標識がとてもわかりづらい。
鉄道renfeに長蛇の列ができていたので、今度は地下鉄メトロで移動することに。
相変わらず行き当たりばったりなので、時間ロスがとても多い。
メトロのカードを自販機で購入する。
乗り換えをどこでするのか、しっかり確認する。
2回乗り継いで、目的の駅をめざす。
雨がけっこう降っているので、傘を買わなければ……と思っていたら、黒人の男性が折り畳み傘を売っていた。ありがたく買わせていただいた。
雨のマドリード。
プエルタ・デル・ソル周辺の「下町エリア」だそうだが、歴史的建造物がとても多く、街全体どこへ行っても写真を撮りたくなる。
私はやはり建物と、建物が構成する街が好きなのだと思う。
今日、いちばんの目的地、「王宮」をめざす。
フェリペ3世の騎馬像。
王宮(パラシオ・レアル)
王宮に隣接されているアルムデナ大聖堂。
王宮の入場券を購入しようと、長蛇の列が。平日なのに。
寒い。
すごい列だ。1時間は待たなくちゃいけないだろう。王宮の内部へ入ることはあきらめた。
そんなに人気なのか。
アルムデナ大聖堂には入れそうだ。
ステンドグラスと、極太の柱が特徴的なカテドラルである。
ステンドグラスは、文字が読めない人でも、絵で宗教がわかるように表現したもの。
グラナダ大聖堂ほどの規模ではないようだ。
極太の柱が何本も。
ちょっと休憩して仕事をした。
お墓。
壮麗なステンドガラス
30分ほど座り、リュックを抱えたまま少し寝た。疲れはたまっていない。大丈夫。昔、虚弱体質だったのに、よく耐えているな、と思う。日本での日常とは異なり、不都合なことが多いが、それでも何とか対応できている。
ちょっと自分をほめてやりたい気分に。
これだけ太い柱が密集していると、有効利用できる床面積がかなり少ない気がする。
アルムデナ大聖堂を出る。
マヨール通りを通って、プエルタ・デル・ソルをめざす。
アルムデナ大聖堂を振り返る。
サンミゲル市場。
とてもお洒落な市場。
マヨール広場が見えてくる。
マドリードの中心、マヨール広場。
マヨール広場で「カフェ・コン・レチェ(カフェオレ)」を飲みながら、しばらく仕事をする。なんか、いい。
標高600メートル以上あるマドリードは寒暖差が激しい。雨が降っただけで、日中でもかなり寒くなる。
プエルタ・デル・ソルをめざすのをいったんやめ、サン・フランシスコ・エル・グランデ教会へ行ってみることに。
迷う。
橋の下に迷い込んだので、上がる。
「サーセイに投票を!」という看板。これがGOTの宣伝か。
橋の上を歩く。
内装が非常に興味深い、サン・フランシスコ・エル・グランデ教会。しかし、なぜかよくわからないが、入場できなかった。こういうことがあるから、困る。どこにも入場時間が書かれていない。
今度は「カリーシ(デナーリス)に投票を!」の看板。わかる人にしかわからないと思うが。
プエルタ・デル・ソルまでのマヨール通りは、私にとってのビジュアルインパクトが凄かった。
店舗もそれぞれ艶やかな外装。色彩のコーディネートのせいであろう。
国道の起点、プエルタ・デル・ソルに到着。カルロス3世の騎馬像。
ゼロ㎞地点の道標。多くの人がここで写真撮影している。
本日泊まるホテル。
ホテルの前にあるメトロポリスの建物。
もう、さすがに疲れたのでホテルへ行こうか迷ったが、もうひと踏ん張り。シベーレス宮殿へ。
連邦政府庁舎。
シベーレス宮殿。
宮殿と、カラフルなバスとの、コントラスト。
シベーレス宮殿の中には、休憩して自習できる場所が。とても快適。
それなりに、マドリードを堪能できたと思う。
ホテルに入って「ピニャ・コラーダ」を。
部屋から見たメトロポリスの建物。夕方6時ごろ。
8時ごろになって、ようやく日が沈みはじめる。
夜11時ごろ。
早朝4時。朝は8時ぐらいにならないと、明るくならない。
さて、早朝バラハス空港へ。ついに2度目のスペインにアディオスを。
空港で、まためちゃくちゃ迷う。いったん保安検査場を通って中に入ったのに、変な場所へ行ったら、外へ出てしまう。
再び保安検査場を通ろうとしたら、「どうやっていったん外へ出たんだ」と問い詰められ、「それはこっちのセリフだ! どうして迷ったら外へ出られるんだ」というように言って反論した。
トムハンクス主演の映画「ターミナル」を思い出す。空港は本当に不思議な場所だ。
何とか再入場できて、ゲートへ向かう。まだ朝の6時過ぎ。
今回の旅は、非常に刺激的であった。5回に1回の割合で、あるかどうかの旅になったと思う。かなりの割合で行き当たりばったりなので、いちいちストレスがたまるが、思考のメンテナンスにはとても役立つ。
旅は「サムシングニュー」の塊だからだ。
それにしても、ひとりでよかった。誰かと一緒なら、こんな旅はしたくない。自分のペースで観光できないし、仕事もできない。
そうそう、今回はかなりの量、旅の途中でも仕事をやったと思う。「一週間、横山さんがいなくても、何とかなりましたよ」もしくは「一週間、横山さんいないほうが、うまくまわりましたよ」さらにもしくは「あれ? 一週間、横山さんいませんでしたっけ? 気付かなかったです」と言われるよりはいい。
さて、今回の持ち物は、グレゴリーの「ボーダー18」のみ。パソコンを収納できる最も小さいデイバッグで、この旅用に買った。
パソコンとkindleとイモトのWi-Fiセットと各種電源。小さな整髪料のみ入れて背負った。パスポートやお金、クレジットカードは、カーゴパンツの「ひだ付きポケット」に入れていた。
下着、着替えはいっさいなし。下着は毎日洗った。服装は毎日同じ。さすがに帰宅時は、かなり汚れていた。髭も伸ばし放題だったので、帰りのルフトハンザの機内では、相当みすぼらしい恰好で乗っていたと思う。
次回は歯ブラシとフロスは持っていこうと思う。どうせかさばらないのだから。ホテルのアメニティでは、物足りない。
この年齢で、最も大事なのは健康だ。荷物を最小限にすることで、相当歩くのにストレスがかからなくなる。これはいいことだ。筋トレを欠かさずやったことも、体調を良好に保つにはよかったと思う。
もうスペインはいいかな、と途中で思ったが、それは自分が旅慣れていないせいだと後半わかったため、また来年もチャレンジしたい。次回はセビージャか、バルセロナになると思う。
【5日目】スペイン グラナダ 2019
スペインに来て5日目。
ついにクライマックスの日を迎えた。これまでいろいろとストレスがかかることがあっても、「グラナダまで耐えるんだ」「アルハンブラ宮殿を見るまでは頑張れ」と自分に言い聞かせてきた。それほど、たいしたストレスがかかっているわけでないが。
ところで、スペインは日本でいう「1階」が「0階」だ。これを覚えておかないと、いろいろな場所で迷うことになる。
アルハンブラ パラセの食堂からの眺め。グラナダの街が一望できる。
煌びやかな場所での朝食。
イチゴが異常に大きい。一瞬リンゴかと思った。オレンジの大きさと比べてみてほしい。
朝食は優雅だった。このときは、だが。
部屋で仕事をしてから10時ごろにアルハンブラ パラセを出る。アルハンブラ宮殿へ行ったことがある人なら、この時点で「?」だろう。
アルハンブラ宮殿のチケットが売っているだろう場所へ向かう。
これまで、すべて場当たり的にチケットを買ってきた。この日もそう。
アルハンブラ宮殿周辺の地図。今日、この地図を20回以上見ることになる。
けっこう歩く。
ついに到着。ここでチケットを購入する。人がまばらだ。どこでチケットを売っているのか。探すが、なかなか見つからない。
スペインに来て5日目。コルドバ行きの高速鉄道のチケット、グラナダ行きの高速バスのチケット。これらの購入については、日本にいるころから心配していた。しかし私はアルハンブラ宮殿に入場するためのチケットを、事前に買わないと、ほぼ入場できないことを、まったく知らなかった。
そのあたりにいるガードマンに質問してみると、驚いたような顔で、「アルハンブラ宮殿のチケット? 当日券なんて、あるわけないだろう」と半笑いで言われた。
私と同じように当日券があると思ってきていた外国人たちも必死に頼むが、まったく受け入れてもらえない。おそらく、毎日そういう「無邪気な旅行者」を相手にしているんだろう。ガードマンたちは、「お前らの相手なんてしてられない。はやく国へ帰れ」と言わんばかりの態度だ。
完全に途方にくれた……。
アルハンブラ宮殿は、正確には「宮殿」ではない。城塞都市である。途中、いろいろな場所に入り口があるので、入ろうと試みるが「帰れ!」と怒られる。
それでも、まだ実感がもてず、トボトボと歩いた。どうしたらいいかわからない。
アルハンブラ宮殿の建物の一部か。すぐ近くにあるのに、これ以上、近づけない。
アルハンブラ宮殿の中にある、「パラドール・デ・グラナダ」に宿をとっている。まず、そこへ行ってみるしかない。
カルロス5世宮殿。
横をすり抜けながら、スマホで、アルハンブラ宮殿のチケットについて調べる。
「アルハンブラ宮殿」と検索すると、「入場できない」「事前予約必須!」「チケット売り切れ」「予約できない」と関連キーワードが出てくる。
頭、真っ白である。
いま、アルハンブラ宮殿のそばに来て、こんな情報を知るだなんて。
「入場時間と予約時間は異なる 注意!」とまで書かれてある。宮殿に入るには、時間も予約しなくはいけないとのこと。
考えが甘すぎて、恥ずかしすぎる……。
パラドール・デ・グラナダが見えてくる。ここまでも、かなり遠い。
ホテルのチェックインは2時から。まだチェックインはできない。
「アルハンブラ宮殿のチケットがないが、どうやったら入手できるか」と聞いてみるが、当然のことながら、相手はびっくりした顔で、「手に入るわけないだろう」と言う。
「チケットなしでここまで来たのか。日本から? おいおいおい!」
と呆れられる。スペイン語が少しできるので、「何とかできないか。もう二度とここまでくることができない。4日がかりでグラナダまで来たんだ」と言ってみた。
ボスクラスのスタッフが奥からやってきて、「ちょっと待て、ハポネス(日本人)」と言い、電話をかけはじめる。他のスタッフは、肩をすくめ、首を横に振るだけ。無理に決まってる、と。
しばらくして、ボスが言った。電話口で誰かを待たせているようだ。「51ユーロを払ったら、可能性がある。賭けてみるか。もしキャンセルが出たら入れるかもしれない」
おそらくこのようにスペイン語で言ったのだろう。完全に吹っ掛けられている。馬鹿にしているか? 屈辱的だ。一応、これでも「絶対達成コンサルタント」である。
それなりの修羅場をくぐりぬけてきた。駆け引きで負けたくない。しかし、立場が悪すぎる。
「キャンセルが出なかったら?」「51ユーロはパアだ。しかし、他の手段がない」
日本円にすると7000円ぐらいだ。高い。ほとんど可能性がないだろう。しかし、「今すぐここで決めろ」と迫られ、「払う」と答えた。
「夕方4時に、もう一度ここに来い。もしもキャンセルが出れば入れる。しかし、なければ、それで終わり」
交渉で負けた気がして、この後、ずっと悔やむことに。
「グラナダはアルハンブラ宮殿以外にも、見どころはたくさんある」とスタッフになぐさめられるが、アルハンブラ宮殿の敷地内にいるのに、そんなこと考えられるか。
とにかく、街へ出かけよう。4時までは、何もすることがない。
結局、アルハンブラ パラセまで戻った。街まで歩いて下ることもできるが、タクシーを使った。なんかやけくそである。
中心街。洗練されている。グラナダの王室礼拝堂。
この礼拝堂に入ろうとすると、大きな体の男に押し出された。「いま、人がいっぱいだからダメだ」と。意味が分からない。他の観光客が、いつ入場できるんだ、と聞くと「知らん。2時間か3時間先だろう」と。
途方にくれて、大道芸人にお金を。
少しポーズを変えてくれた。
王室礼拝堂の隣にカテドラル(大聖堂)がある。
グラナダ大聖堂。
ここは入場できた。
おお。
コルドバのメスキータ内にあったカテドラルより大きい。
非常に大きい。
おお。これは凄い。
素晴らしい。
ゴシックとルネサンス、イスラム様式をバランスよく取り入れた装飾。
左右のパイプオルガンが荘厳だ。
素晴らしい。
建築を勉強していたころ、ゴシック、ルネサンス、バロックの建築物に憧れていたのだ。10代ころである。
しばらく座って、たたずんだ。
この旅行の目的は何だ? グラナダに来て、アルハンブラ宮殿を見ることではなかったか。kindleを出して、グラナダのページを開く。アルハンブラ宮殿の紹介ページを読んで、行った気になってみる。
しかし、無理だ……。
妻に「アルハンブラ宮殿に入れなかった」とメッセージ送った。
「本当に『未達成の旅』になっちゃったよ!」と書いたら「ネタになってしまうね!」と返ってきた。慰められたような、どうなのか。
素晴らしい建築物が目の前にあるのに、上の空。
そうだ、ネタになる。そうそう。
アルハンブラ宮殿をめざして来たのに、入場できなかった。このような体験のほうが、間違いなくネタになる。そうだ。
みんな仕事をしているのである。にもかかわらず、私はスペインまで来ている。1週間も休んでだ。
そんな身分の自分に、いいことばかりあってたまるか。
素晴らしい。なのに、心ここにあらず。
グラナダ大聖堂。忘れないよ。私はこの大聖堂をみるために、ここまで来たんだ。うん。そうに違いない。
コルドバのメスキータは素晴らしかった。おそらくアルハンブラ宮殿は、そこまで素晴らしくはないだろう。
雑念ばかりで、堪能できなかった。
イサベル・ラ・カトリカ広場。
イスラム教徒の居住区だったアルバイシンへ向かおうとしたが、途中のレストランへ寄る。サングリアを頼む。酒に弱い私は、すぐに酔った。
イタリアン?
ようやく野菜を食べられる。ホテルのビュッフェでも、なぜか野菜が出ない。(フルーツばかり)
プルポって、鱈だと思って頼んだらタコだった。タコ料理。
ランチしながら、ずっとネタについて考える。「絶対未達成の旅」。本当に未達成になった。アルハンブラ宮殿の中へ行けるよりも、断然ネタになると思う。
いい思いをしたときより、失敗談のほうが雑談ネタにいいのだ。しかも不運ではなく、自業自得なのだから、よけいにいい。
パソコンを取り出し、アルハンブラ宮殿を観光した人が書いているブログを3つぐらい読んだ。もっと写真を載せてくれよ。堪能できないじゃないか。
行った気分に浸りたいので、次々にアルハンブラ宮殿の内部の写真を検索して眺めた。ものすごく虚しい。
食事をしながら、ずっとブツブツ頭の中でつぶやいていた。こんな性格だったか。往生際が悪い。とにかくクヨクヨした。5時間かけて執筆し、やっと完成した原稿が、何らかの拍子でパソコンが落ち、データが吹っ飛んだケースの1万倍、くよくよしていたと思う。
ほろ酔いで、アルハンブラ宮殿のほうへ向かう。
そしてパラドールへ。サンタマリア協会の横を抜ける。
パラドールだ。足が重くなる。
10代のころ、図書館で建築の本をむさぼるように読んだことを思い出す。はあ……。
チェックインして部屋。3時過ぎ。
あと約50分で、4時になる。
これまでの経験からして99%入場できない。受付へ行けば、スタッフが
「最大限の努力をしたが、やはり無理だった」と言う可能性が45%
「ここで待て。連絡がくるかもしれない」と言われ、延々と待たされて結局はダメだったと言われる可能性が30%
「何の話? 誰がそんな話をした?」としらばっくれる可能性が20%
「――」無視される可能性が4%
「セニョール! 君は今世紀最高のラッキーマンだ! キャンセルが出たよ!」と祝福される可能性が1%だ。
4時からどうしようか。アマゾンプライムで、ペネロペ・クルス主演のスペイン映画『オープン・ユア・アイズ』(原題:Abre los ojos)でも観賞しようかと思う。
スタッフは、「洞窟フラメンコ」とか勧めてきたが、出かける気にはなれない。
ホテルのレセプションに行ってみると、アメリカ人老夫婦がベンチに座っていて、スタッフがタクシーで一緒に行け、と言う。「どういうことだ? 私はアルハンブラ宮殿へ入場できるのか?」と聞いても、うまく聞き取れない。
とにかくタクシーを待たせているから、それに乗れ、と。
ああ、あるある。
こういうの。
グアテマラでもあった。こういうシチュエーション。
人を振り回すだけ振り回しておいて、結局はダメだった、と言うパターンか? しかし、「セニョール、残念だがキャンセルは出なかった。そこで私が新たなプランを考えた。ここでフラメンコギターを堪能するツアーに出かけるのってどうだい?」と言われるよりはいい。ネタになるからだ。
この黒いジャージ姿のタクシー運転手が連れてってくれるらしい。どうなるのか。
タクシーに乗る。午前中に行った、チケット売り場へ行くようだ。しかし、あそこでどうするつもりか。入場できないって!
アメリカ人老夫婦も一緒にいく。この夫婦も、チケットがないのか?
グアテマラにいたころを思い出す。この感覚……。
アルハンブラ宮殿へ入場できる? 期待したくない。
とはいえ、ペネロペクルスの映画より、楽しい経験になりそうだ。
ここからが(写真を撮ってないが)、大変だった。
黒いジャージの運転手が、案の定、私たち3人をアルハンブラ宮殿のチケット売り場でおろした。私は驚いて、運転手に食い下がった。
「おいおい! ここに置き去りにしたって駄目だよ! チケットは持ってないから入場できない」
「そんなこと俺に言われても知るかよ。パラドールのスタッフがここまでお前らを乗せていけと言っただけだ」
「頼む! ここで下ろされても困るんだ。チケットがないんだよ」
「そんなこと、俺に言われても……」
ここで、この黒ジャージの運転手が、私の剣幕に気圧されずに動いてくれなかったらどうなっていただろうと思う。
運転手は、タクシーを降りていろいろな人に尋ねてくれた。私が言ったとおり、私もアメリカ人夫婦も、このチケット売り場ではどうしようもない。老夫婦も困り果てていた。
運転手がいろいろ愚痴って、またパラドールに戻ることになった。タクシー代を請求された、私が払うつもりでいた。
パラドールに着いたら、今度はホテルのスタッフが驚いた。「なんで戻ってきた?」
運転手が言う。「だってこいつらチケットないんだろ」
スタッフが答える。「誰がチケット売り場へ行けと言った? グアダルーペって言う、ツーリスト代理店だ。そこでツアコンが待ってる」
おそらく、こう言ったんだと思う。再び私たち3人はまたタクシーに乗って、その代理店を目指すことになった。この時点で、1%だったアルハンブラ宮殿のチケット入手確率は20%まで跳ね上がった。
代理店に着いた。心臓がバクバクする。まさか、入場できるのか? アルハンブラ宮殿へ?
このグループに帯同できるのか? ということは、誰かキャンセルが出たのか?
しかし、そうはいかなかった……。
全員に配布されたチケットが、私の分だけなかったのだ。代理店のスタッフが「君がチケットのない日本人だな。心配するな。何とかするから」
出た。
「心配するな」と言っておいて、「最大限の努力をしたが、ダメだった」と言い訳するのが、常套句だ。やはりだめか。
グループが全員、店の外へ出ていってしまった。取り残される私。
今日という日の中で、この取り残された時間が、最も長く感じた時間だった。女性スタッフが、ずっと電話している。誰かと交渉しているようだ。私のチケットのことだろう。すでにグループはもう、アルハンブラ宮殿をめざして出かけてしまっている。どうすればいいのか。この店に取り残されて。
10分ぐらい待たされただろうか。
心理的時間は、8時間ぐらいあったように思う。
女性スタッフが「セニョール、来たよ」と言うが、それでも信じられない。しかし、本当にチケット、来たのかも。ファックスで印刷している。
この時点で入場できる確率は50%にまで上昇した。それでも50%である。私は信用していない。
これがチケットだと言う。これでアルハンブラ宮殿に入場できるのか! マジで! 本当に!?
これじゃあ、「絶対未達成の旅」にならないじゃないか。いや、ならなくていい!
スタッフの一人が「ついてこい!」と言う。グループと一緒に入場しないとまずいのではないか。
探しまくる。このスタッフもどこへ行ったかわからないようだ。
入場できる確率50%が、30%にまでダウンする……。期待しすぎるのは、よくない。ここはラテンの国だ。
あ……!
そして、宮殿のエントランスにスタッフが私を待っていた。
そして……!!!!
アルハンブラ宮殿に入場できた。
できたあああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!
目の前に、先ほどの老夫婦の姿が。
うおおおおおああああああおおおおああああああ!!!!!
入場できた。アルハンブラ宮殿に入場できたあああ!
喜びを隠しきれない。
グループの他のメンバーは、私の心情を誰も推し量ることはできないだろう!
うあああああ! 最高だ! やはり未達成はダメだ! 達成しないと!
喜びを隠しきれない!!!
嬉しすぎる。
何を観ても嬉しい。幸せだっ!
ひゃああ……。
もう、何かよくわからないが、笑いが止まらない。どうして入場できたのか。まったくわからない。でも嬉しい。
ここにもオレンジの樹が。すべてのオレンジに感謝したい気分だ。
何を見ても感動する。
たまらない気持ちだ。笑いが止まらない。
本当にアルハンブラ宮殿に入場できたのか。まだ信じられない。本当に、信じられない。
私の人生と同じだ。
まったくスマートじゃない。でも「持ってる」。紆余曲折あるが、最終的に、何とかなってる。人生の縮図のようだ。
宮殿内部で、何度もチケットのチェックがある。そのたびに、心臓がバクバクしたが、セーフ!! 本当にアルハンブラ宮殿に入場できたんだ。まだ信じられない。
もう、ここからは文字は要らない。膨大な数の写真を投稿していく。
ヘネラリフェ。
感動しすぎて、言葉にならない……。
ほおおおおおおおおお……。
このアラベスク模様に、魅了されまくる。
カルロス5世宮殿の中庭。ドーリア式列柱に囲まれている。
アルカサバ。城壁に囲まれた要塞。
ここでもチケットをチェック。ひやひやする。
素晴らしい眺め。幸せだ。
おっと……。
いよいよ近付いてきたか。
アルハンブラ宮殿に入場してから、もうここまでで2時間近く経っている。そろそろか。
全員の所持品を、この麻薬犬? でチェックしていた。
さあ、入った。近付いてきた。今回の旅行のクライマックスが。
もう、ここまで来たら、これだけでも満足なんだが。
最大の目玉、ナスル宮殿へ。
アーチの「鍾乳石飾り」
カリグラフィー。コーランの一節が、装飾文字で。
メスアールの間。
酸欠になりそうなほど、感動……。
天井。
アラヤネスの中庭へ。
生きててよかった。
来た。天井の鍾乳石飾り。
もう、たまらん。
コマレスの塔。
コマレスの塔にたどり着いて、私はあるリスペクトする人の言葉を思い出した。
「この一瞬のために!」
そうだ。
この一瞬のために、私はスペインへ来たんだ。いや、人生を歩んできたんだ。
どうして中学を卒業して建築家をめざしたのか。なぜ図書館であれほど、ゴシックやバロックの本を読み漁ったのか。
この一瞬のために、自分は50年近く生きてきたんだ。素晴らしい! 素晴らしすぎる。
顔の筋肉に力が入らない。いま、私はとろけそうな表情をしているだろう。
さあ、いよいよ。
クライマックスの中のクライマックスへ!
ライオンの中庭。124本の白大理石の柱が並ぶ。
ライオンの中庭。
写真では見ていたけれど、こ、これは……。
ものすごい鍾乳石飾り。これが、そうか。
な、なんと言う……。
鼻血が出そうだ。
最高だ。
別の間にも、す、すごいぃ。
膝から崩れ落ちそうなほど、美しい。
たくさん写真をアップしているが、これでも10分の1ほどである。
おおおおほおおおぉぉぉ……。声が出てしまう。
なんという、グラデーション。
この構図だけでも、日本から来たかいがあるのに、それが無数にある。
お、おおおっ!!!!!!!!!!!!!!!
これが最高。これが最高……。これ以上に最高のものはない、とずっと思い続け、そして、そして、ついに到達!
「二姉妹の間(Sala de las Dos Hermanas)」。八角形の鍾乳石飾りは、見上げたまま卒倒しそうなほどの美しさ。
ちょっと待てよ……。
もう、何も必要ない! す、すごすぎる。
もう一度見たい!
ついに……。抜けた。
もう、これ以上、いいでしょう……。
ラストシーンは、短めでいい。
ついに、解散した。
ガイドの方に「私は最高に幸せです」と伝えた。前を行く老夫婦は、何を思っているだろう。
いずれにしても、私をグループにねじ込んでくれた、パラドールのスタッフの皆さん、ありがとうございます!!
普通に入れなかった分、喜びは千倍だ。一生の思い出となった。ありがとう。
【4日目】スペイン グラナダ 2019
スペインへ来て4日目。
前回は1週間の短期留学だったため、毎日4~6時間は学校以外でも勉強していた。(宿題が多いので)
だから観光どころではなかったが、今回は仕事が多い。なので観光どころではないことも多い。しかし、わざわざスペインまで来て仕事している自分が、嫌いじゃない。
100あるなら100触れないと損した気分になる、という発想は私にはない。100あるのに、そのうち5しか触れないから贅沢というものだ、という感覚を持っている。(昔はなかったが)
2日連続で「パン・コン・ハモン」。そろそろもういいかな、と思える。
サイズは大きいが、腹にもたれない。コンビニの菓子パンひとつで、胃もたれするのに、なぜかわからない。
コルドバのグアダルキビル川沿岸に王宮がある。ムデハル様式の王宮だそうだ。その名も「アルカサル」。
ベンチに腰掛け、パンコンハモンを食べながら、列を眺めていたら、ドンドン増えていくので、急いで並んだ。
後ろを振り向く。あっという間に、すごい行列が。
30分ほどで、ようやく入り口へ。案の定、チケット売り場の人が、お客様たちとお喋りしている。手際がきわめて悪い。効率化したら、10分の1の待ち時間になりそうだが、これがスペインだ、と言われたらそうなのだろう。
内部は涼しい。
見下ろすと、ところどころに中庭が。
おお、いかにもスペイン! 来た。
晴天に恵まれた。
しばらくたたずむ。コロンブスがここでカトリック王に謁見したという。
メスキータの尖塔も眺望できる。
イスラム時代の浴場。
そこら中に、オレンジの樹が。
絵になる少女の姿が。
緑と水が調和したアラブ式の庭園。
そこら中に、色彩豊かな花たちが咲き誇っている。
構図がいい。
いろいろな角度から、王宮を望むことができる。
絵になる。
外に出ると売店が。
グアダルキビル川沿いに歩いてみる。
カラオーラの塔。コルドバの町を守ってきた要塞。
グラナダ行きのバスに乗るため、歩く。
とにかく、私は歩く。
大きな広場に出てきた。
昼の12時半では、まだ早い。1時ごろから、皆さんランチ。
市街に突入。
旧市街とのコントラストがいい。
コルドバのいろいろな表情が見える。
このバスでグラナダへ。2時間半の旅。一昨日、チケット買っておいてよかった。
気温と湿度。とても過ごしやすい。
出発。
アンダルシアへ。
バスの中でも仕事を。疲れは残さず、グラナダへ到着。
しかし、ここからノープラン。マドリードでもコルドバでも、ほぼ歩きのみで移動したが、このバスターミナルは町のはずれにあるようだ。
市街へ向かうバスを探すが、どうにもわからない。しかたなく、タクシーに。
はじめてタクシーに乗った。4年前も1回しか乗らなかった。
めざすは、アルハンブラ宮殿すぐ近くのホテル。「アルハンブラ パラセ」
到着。
目に眩しい内装。
歴史的建造物ならともかく、ホテルなので、とてもいやらしく感じる。
グラナダを見渡す眺望はいい。
ホテルのたたずまいからして、「見下ろしている」感じだ……。
夕焼けが。
仕事があるので、とても外出できない。
何年ぶりだろう。髭を剃っていない。少し精悍な顔つきになってきただろうか。
スペインに来て、いろいろと思うことがある。
それは、もう衰退しつつある大企業にいる感覚だということ。このホテルのスタッフも「古い大企業の役員」的な感じで、古き良き時代を懐かしんでいる風で、目先のサービスを改善しようという気持ちがなさそう。
そういう目で見てしまう自分が残念だが、性分だからしょうがない。
自分は今、ピークなんだろうか。もうピークを過ぎているのだろうか。それとも、ピークはもっともっと先なのか。を考えてしまう。これまでの自分を振り返って、昔はよかった、今はどうだ、なんて懐古主義者になるわけにはいかない。
スペインに来て仕事ばかりしているのは、過去に引っ張られ、ノスタルジックになりたくないからか。自問自答している。
【3日目】スペイン コルドバ 2019
スペインに来て3日目。今日だけ、移動のない日。しっかり観光できる、とは思っていなくて、日本は月曜日だから、しっかり仕事したいと思う。
ホテルのハルディン(中庭)で、早朝の食事? ではなく、コメドールは地下にあった。
今日は、衝撃的な一日となったので、事前に予告しておく。
食事をとってから、10時まで約3時間ほどメール処理など。
ホテル周辺は、観光地としても有名な「花の小径」。迷路のように入り組んでいる。
見えてきた、コルドバで最も有名なスポット、メスキータの尖塔。93メートルもあるらしい。
2万5000人を収容する大モスクだそう。イスラム教徒によって785年に建設されたのだから、かなり古い。500年後の1236年から、この土地の実験を握ったカトリック教徒が、内部にカテゴラル(大聖堂)などを新設したりして、世にも珍しい「2つの宗教が同居する建築物」になったとか。
このことを意識せずに入館したため、私はあとで度肝を抜かされることに。
周辺は観光地になっている。
今回は小さなリュック一つで来た。キャスター付きのバッグにしようか迷ったが、石畳の道がどれぐらいあるか気になったのでやめた。リュックで正解だったように思う。(毎晩、下着を洗う必要があるが)
モスクの中に入ると、チケットを購入する人の行列が目に入る。なんとなく尻込みして、また外へ出た。
以前、サラマンカ市にいたころ、よく食べた「パン・コン・ハモン」。この長いバケットを手にしながら、花の小径をぶらぶら歩く。
同じような道が続く。
ぐるぐる回っていると、だんだん道に迷ってきた。
疲れてきた。
結局、モスクに戻って、端っこのほうに座り、パソコンを開いて、また仕事に取り掛かる。
このような景色を観ながら、キーボードを叩いていた。
行列がなかなか短くならないので、入館することに決めた。
メスキータの最大の特徴である、馬蹄形のアーチが見えてくる。
無限に連なると思われるようなアーチ群。
イスラム教徒のモスクなのに、壁や天井に、カトリックの礼拝堂にみられるような絵画が見受けられる。非常に不思議で、違和感のある世界だった。
単純な造形が重なり合い、深い奥行きをつくりだす様は、とても興味深い。
モスク内に設置された椅子に座り、またパソコンで仕事をした。
セマナサンタだからか、多くの観光客の姿が。
天井からの光が、強い陰影をつくりだしている。面に対する光の当たり方によって彩度も変化し、奥のほうが神秘的な眺望をつくりだしている。
連続するアーチが、異世界へと私たち人間をいざなっているかのように見える。
アーチに導かれて奥へ進むと、様式が異なる内壁が見えはじめた。なんだ、コレは。
ん……。な、何?
なんだ、突然あらわれた。コレは何だ?
おおおおおお!
ここ数年、声をあげて驚いたことなど、あっただろうか。しかも、建造物を観て興奮して。これが、メスキータ内のカテドラル(大聖堂)か。
天井を見上げる。うぉおお、凄い。
しばらく圧倒されていて気付かなかったが、目を横に向けていくと、また異なる情景が飛び込んでくる。
な、何だ、コレは。
自然とまるで調和しようとしない、圧倒的な「芸」の集合体が目の前にあらわれてきた。
おおお……。なんという、圧迫感。
脳が処理しきれないほどの造形の嵐だ。
謙虚さ、繊細さとは対極にある、周囲の空気を制圧するような芸術だ。イスラム教徒のモスクなのに、なぜ、これほど高慢な建造物が。
くどい。くどすぎるが、極端なほどの、くどい様式美に酔ってしまいそうだ。
これは下品を通り越した、芸術だ。
いずれ飽きるだろうが、飽きるまでの時間までは堪能したい。
いやあ、凄い。もう一度、カテゴラルを正面から眺める。
ディテールをアップで。
パターン化しているようで、していない。
もう一度、見上げてみる。
これまで目にした建造物で、良くも悪くもいちばんインパクトがある。と思った。
イスラムのミフラーブ。
幾何学的な模様が、見受けられる。いかにもイスラム様式的な美しさ。
天井にも、似たような造形が。先ほど目にしたカテゴラルとは、まったく異なる様式。時代も500年ほどか、ズレている。同じ建物内だというのに。
再び、アーチ群を目にしながらメスキータを後にした。素晴らしい体験だった。今回の旅行の最大のトピックは、アルハンブラ宮殿である。
いくらアルハンブラ宮殿とはいえ、このメスキータ以上の衝撃を受けることは、ないと思う。
再び、花の小径をたどる。暑くなってきた。
混んでいる店には入りたくない。
なので、あえて「高いそうで」「まずそうな」店を選ぶようにしている。当然、人は少ない。日本では、めったに外でお酒を飲まないが、ここでは昼からセルベサ(ビール)を。
まずそうだと思ったが、意外にも美味しいレストランだった。遅いランチをとる。
スペインに来ると栄養が偏るので、選べるときは魚料理を積極的に頼む。魚介類のスープを頼んだら、非常に濃厚で、栄養のありそうなスープが出てきた。
魚料理もおいしかった。
ほろ酔いで、花の小径を歩き、ホテルへ向かう。
仕事があるので、ホテルへ。犬がけだるそうに、座っている。
3時間ほど、部屋で仕事をしてからロビーで軽食を。夜のセマナサンタ(復活祭)に備える。
部屋から、小径を見下ろす。ここをプロセシオン(聖行列)が通ると言うのだ。
徐々に人が集まってくる。騒々しくなってきた。
ずいぶんと待つと、あらわれた。プロセシオンだ。
非常に長い行列。白い煙がたかれ、一時期、周囲が真っ白に。
台にのせられたキリスト像が真下を通り過ぎる。
ホテルの目の前で止まって、何やら唱える聖行列の方々。
非常に厳粛な行事であった。グアテマラで観たセマナサンタとは、かなり異なる気がする。ホテルの場所、部屋の向きなど、こんなに恵まれた場所で鑑賞できて、本当にありがたい。
今日は一日、いろいろなことを考えた。日の沈まぬ国と言われたスペインは、日の沈んだ国と言われて久しい。
日本もまた、過去の栄光の延長線上にいる国となるのか。日本の企業を現場で見ていると、そうなっていくのは間違いないとも思える。そして自分はどうなのだろうか。
いろいろと考えさせられる日だった。
【2日目】スペイン コルドバ 2019
スペイン2日目。今日、最もやらなくてはならないことは、コルドバ行きのチケットを購入すること。
時差ボケは本当に慣れないので、朝早く起きてしまったため、3キロほどランニング。
ホテルで朝食。だいたい、朝食だけがまともに食べてる感じがする。
美味しいハモン(ハム)を朝から堪能。
プラド美術館の脇を通って、再びアトーチャ駅へ。
アトーチャ駅。
人に聞きまくり、高速鉄道AVEのチケットを購入できるカウンターがようやくわかる。
ところが、どのカウンターに並べばいいのか。人に聞いても、それぞれ言ってることが違う。結局、番号札をもらわなくちゃいけなかったのだが、そのときすでに35人待ちの状態。何とかならないかとカウンターに掛け合ったが、どうにもならず。
とはいえ、45分ぐらい待って、14時発のAVEチケットを手に入れた。
2時まで時間があるので、再び来た道を戻ってプラド美術館へ。
ベラスケス像を横目に、歩く。
列に並んで、チケットを購入。スペインに来てから列に並ぶことが非常に多くなることに。
入口。もちろん写真はここまで。ヨーロッパを代表する美術館に入り、ベラスケスやゴヤの絵画鑑賞をしたが、建造物のほうが興味ある私は、それほど長居できなかった。
マクドナルドでも入ろうかと思ったが、混んでいたので別のレストランへ。私は空いている店が好き。
イベリコ豚のハンバーガーがメニューにあったので、それを頼んだが「ない」と言うので「似たようなものを」と言ったつもりが、通じなかったようだ。まるで似てない料理が出てきた。
アトーチャ駅へ再び戻り、AVEに乗車。まるで空港のような荷物検査がある。
これが時速300キロ出るというAVE。
窓外の、のどかな景色がいい。
1時間40分後に、コルドバに到着。グラナダが少しずつ近付いてきた。
明後日、グラナダへ行くため、ここでもバスのチケットを購入しようと、探し回る。
バスステーションを発見。
ようやくグラナダ行きのバスチケット売り場を教えてもらう。
購入できた。
コルドバ駅からホテルまでの約1.5キロを歩くことに。
緑が豊かな街並み。
スペインに来てから、やたら目にする落書き。こんなところにも。
のどかな日曜日。
マドリードで感じた喧騒は、ない。
白い壁の街並みが。
白い壁に、石畳。
ホテルに到着。
白い壁に囲まれたハルディン(中庭)のあるホテルが、あこがれ。
ハルディン(中庭)がとてもボニート。
ホテルの人が、いろいろ観光場所を教えてくれたが、時差ボケもあって、できる限りはやく休みたい。
……と思っていたが、スペインは夜の9時を過ぎても外が明るい。外へ出て、フラメンゴを鑑賞できるバルへ、ふらふらと行ってみた。
一番いい場所で鑑賞できたように思う。ボリビアで、土着のフォルクローレを聴いたときのことを思い出した。有名な曲は一切やらず、自分たちのやりたい曲だけを楽しそうに、そして情熱的に奏でる。観光客ではなく、地元の人と同化しているように思えて楽しい。
ホテルで休んでいると、だいたい夜中に1時か2時ぐらいまで、外から話し声が聞こえる。サラマンカにいたときも、毎日そうだった。昨日、マドリードでも。
今日、ここコルドバでも、そうだろう。スペインの人はシエスタしているから、毎晩夜更かしできるのだろうか。けっこううるさくて、何度も夜中に目が覚める。(苦笑)
【1日目】スペイン マドリード 2019
毎年1回はスペインへ「ひとり旅」をするのが私の目標である。その目標を達成させるためには、経済的にも時間的にも精神的にも余裕がなければならないし、家族や職場の理解も必要。体力もなければ難しい。
誰からも「1年に1回ぐらい、それぐらいのワガママ言ってもいいんじゃない?」と言われるような日ごろの行いをしようと、心がけてきた。しかし、現実はそうならない。
2015年にスペインのサラマンカ市で短期間留学してから、実に4年ぶり、2回目の渡航となった。来年から、毎年スペインへ行けるのだろうか。(また、行きたいと思えるのだろうか?)
今回の「絶対未達成の旅」にかかってると思う。
渡航先は、マドリード → コルドバ → グラナダ。最大のイベントは、アルハンブラ宮殿内部にあるパラーセに泊まること。
しかし、スペインへ渡る前から大きな問題が発生。渡航日である4月14日からスペインは、一年に一度の「セマナサンタ」。セマナサンタとは、聖週間、復活祭のこと。
グアテマラにいたころ経験したが、いろいろな祝い事が催されるので、国内はどこも大混雑する。
コルドバやグラナダへ移動する鉄道や高速バスのチケットを手に入れずに、スペインへ行くことになるので、チケット入手が当面の最大関心事だ。観光など、二の次。
名古屋セントレアからフランクフルトへ。腰痛もちの私には、きわめてキツイ時間。 kindleで「論理学」の本を読書。ヘッドフォンが壊れていたので、12時間のフライトなのに映画鑑賞できず。
約12時間のフライトを経てフランクフルトへ。そしてフランクフルトからマドリードへ。バラハス空港に着いたら、ドイツ人からスペイン人へと、周囲の風景が一変した。
耳になじむスペイン語が心地いい。
翌日、コルドバへ行くための高速鉄道AVEのチケットをどうしても手に入れなければならない。アトーチャ駅の売り場で買う必要があるのだろう。renfeと呼ばれるスペイン鉄道からアトーチャ駅をめざすことに。
しかし、renfeの駅がどこかわからない。
空港バスに乗って、ターミナル4へ移動しろと言われた。わかりづらい。言葉がわかるのに、わかりづらいなんて。
それにしても、めまいがする。疲れた……。
ターミナル4に到着。広大な敷地で、どこがrenfeの駅かわからない。ぐるぐる同じところを行ったり来たり。
ようやく見つけてアトーチャ駅までのチケットを購入。韓国のときほどは迷わなかった。やはり言葉がわかるか。それにしても無計画な旅って、本当に生産性が悪い。来年からやめようかな。
空港からアトーチャ駅へ。車内はガラガラ。信じられない。年に1回のセマナサンタの時期なのに。間違えて乗ったのか? 寝落ちしそう。いや、こらえなければ。
アトーチャ駅へ到着。さすがに、人が多い。
アトーチャ駅を上から撮る。大都市の主要駅の割には……。
明日のコルドバ行きのチケットを買いたいと、いろいろな人に聞きまくったが、誰に聞いても「明日来い」「今日はもう閉まってる」の一点張り。
たまに「機械で買える」とウソを教える人もいるので混乱する。何が正しい情報かわからない。青年海外協力隊で赴任していたグアテマラに戻ったかのような気分を味わう。
アトーチャ駅から徒歩でホテルへ向かう。
プラド通りを歩く。右側にプラド美術館が見えてくるはず。マドリードで、最も有名なスポットの一つ。
ザ・ウェスティン・パレス・マドリードを横目に、歩き続けて1キロ。ホテルへ到着。本当に疲れた……。コルドバ行きのチケットが手に入らなかったのが、最も大きなストレスに。
ホテルに、なぜかアメニティがないことも、強いストレスに。歯ブラシもヒゲソリもホテルのものをアテにしていた私は、いろいろなものを使って歯を磨く「フリ」をした。
寝ても、「なぜアメニティがないのだ」となされる夢を見たりして、さんざんな一日だった気がする。
明日はコルドバへ行けるのだろうか。まずは朝食をとってから、再びアトーチャ駅まで歩かなくては。
来年からも「私の目標は、毎年スペインへひとり旅することです。そのためには、経済的にも時間的にも……」なんて、言うのだろうか。今回が最後かもしれない、と思えてきた。
【4日目 最終日】韓国ソウル 2018
3泊4日、韓国ソウルへの旅、最終日。
昨年の「タイへの旅」と同じように、今回も着替えはゼロで来ましたので、毎日、シャツとパンツと靴下は、寝る前に洗面所で石鹸をつけて洗い、ドライヤーをあて、朝までつるして乾かして、毎日使っていました。
タイではさすがに一週間いたので、下着は現地で買いましたが、今回はそれもなし。ずっと毎晩、洗いつづけました。青年海外協力隊時代を思い出します。
今日もノープラン。
名観光地、昌徳宮(チャンドックン)へ足を向けるか悩みましたが、やめにすることに。朝食しながら、考えました。
目的もなく、やってくると本当に効率が悪い。事前情報もないので、意思決定する基準もない。
ただ、韓国に来てすごくよかったなと思うのは、この年齢になるまで、日本にとって重要な隣国のことを、まるで知らなかった自分に気づけたことです。
そして、発展している国か、人種が異なる国かの、2つの違いにより、中央アメリカでは蔑視されてきましたから、発見は大きかったです。
韓国では、両方の面から、まったくソレがない。
教育の行き届いていない、別の人種の人からの目線を感じながら生きたことがない人には理解されないであろう。
この国は、いろいろな面で似ていて、過ごすのにきわめてストレスがなかった。観光よりも、働いたら楽しいだろうな、と真剣に思える国であったと思います。
このような気持ちになれて、本当に来てよかった。
最終日、これ以上観光する意味がない。それより、隣国の人間としてもっと頑張りたい。もっと成長したいと思い、ホテルのラウンジで1時間半こもって勉強&作業をしました。
日本では、なかなかまとまった時間がないので、頭を整理するのに、すごく役立ちました。
さあ、昼になってから移動を開始。まずはソウル駅へ。
一度もタクシーも、ツアーも利用しませんでした。
ほぼ地下鉄だけを使って、滞在中は移動しまくりました。
見慣れた風景。もう、地下鉄の仕組みは、かなり覚えました。
金属っぽい車内。
もう違和感がない。インパクト×回数で、思考プログラムが変化しました。
ソウル駅に到着。これから空港へ。
初日に立ち寄ったコンビニ。お金が余っていたので、何か買おうか迷う。
空港へ。
行き先間違えた。やはり、まだ慣れていない……。
総合案内所で聞いて、何とかチケットを買えました。
改札口を通って
ソウル市内の地図。かなり頭に入っています。
地図や、地名が頭に入っていることが、いちばんの思い出。そして、いちばんの自分へのお土産。
外の風景。
いつものことだが、お土産はゼロ。
以前、北海道知床ウトロでお土産屋さんで働いていた経験から、「お土産を買う人は観光地のカモだ」というバイアスがかかっています。家族も、部下も、私を知る人物は、誰も期待していません。
空港駅に着いた。
宇宙船のような建物。
4960ウォン余っていたので、お昼は4500ウォンの「韓国のり巻き」を質素に食べました。
換金した3000円で、何とか過ごせました。460ウォン余ったので、帰りの飛行機の中でユニセフ募金をしました。
プライオリティパスを使ってラウンジへ。
ここでもパソコンを開いて勉強&作業。韓国に来てパワーをもらえました。もっと頑張らないと! という気持ちを芽生えさせてもらいました。
普通なら、「頑張ろう」と思うだけで帰国するだけ。そんな決意も、すぐに忘れ、なんだかんだ日ごろの生活に忙殺され、忘れてしまうものです。今回は帰国する前から、観光を放棄してそれを実践したのがよかった。
「いずれ」「そのうち」が、やってくることはない。さらにスピード感をもって成長していきます。